2016年6月8日水曜日

2016小倉織 ミラノデザインウィーク出展に際して

この4月、 Milan Design Week に
染織家 築城則子 × 建築家 白川直行によるインスタレ
ーションを見にミラノに行きました。今回のイタリア旅行は
人生においても特別な経験となり、思わぬ出会いに恵まれ
たとても幸せな旅となりました。


ミラノ大学 小倉織の展示

 
小倉織の機械化を探求しブランド化した「縞縞」。
その生地を正方形に裁ち、折ったもの約1400個を使って
制作したシャンデリア。




シャンデリアの中央にちょこんとついているのは、この包み
を使った訶梨勒(かりろく)です。結びは六方緒締め。
築城さんからこのシャンデリアに結びのついた訶梨勒をつ
けたいのだけど、とご連絡いただき急遽制作しました。

2014年和光での「築城則子染織展」において、この訶梨勒
を10点制作しました。
その訶梨勒と同じ折りが今回のモチーフとなり、嬉しいことに
またあの時の訶梨勒がミラノでお披露目されました。

夜になってライトアップ!

階段上から
ミラノ大学の校舎は素敵でした

ほとんどの方が気づかないと思いますが、ここに結びをつ
けて下さって私の中では「包み」に「結び」がついたという意
味で、日本らしさがまさに慎ましく表現されているようで、
階段上からの眺めがとても気に入りました。


多くの方が訪れました



ミラノ大学エントランスすぐの回廊

縞は無限の世界を表します。
築城さんの小倉織は昔のものより糸を細くして経糸の数を
増やしたもの。2300本と聞いています。
なめらかな感触と、繊細なグラデーション。

室町時代に確立した武家礼法である折形を研究し、
今に活かす方法を探求してる折形デザイン研究所がオリ
ジナルの包みとしてデザインした「貝包み」。
デザイナーの方々による折形のデザインはその精神性に
価値をおき、デザインは極力シンプルに、機能的に折られ
ています。本当に美しいです。

そして、その二つを融合して、素晴らしい空間を生み出し
た建築家の白川さん。
白川さんの徹底したこだわりはため息がでるほど。
縞の特性とその美しさが3つのオブジェで表現されました
が、その広がりの中に厳粛な場の空気も流れ、一つ一つ
見入ってしまう作品でした。


 

見違えるほど変容した伝統の世界にしっかり残っているの
は形ではなく残すべきものと変えたいもの、その線引きを
どこへ持っていくかというとても難しい問いへの現時点で
の答のように思えます。

結びは何を残し何を変えていけばいいのか。
小倉織、縞縞、折形。
このご縁にはいつも大きな学びの場を頂いてきましたが、
今現在も進行形でいられることを大変幸せに思います。



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